リスボン綴り

リスボンでの大学生活を綴っていこうかと思ってます。

伊豆の踊り子/ペドロ帰国

最近全然リスボンのことについて書いていませんが、またまた読書記録。

『伊豆の踊り子』(著:川端康成)を読み終わりました。川端康成やべえ。

文庫本『伊豆の踊り子』新潮社刊には、伊豆の踊り子、温泉宿、抒情歌、禽獣の4編が収録されていますが、どれもおもしろい。すごく詩的で、冷たい文章です。

新感覚派の面白さは主人公の視点にあると思いますが、「抒情歌」の死んだ人へ向かって語りかける女性のモノローグという視点は、とても独特の表現をつくっていて面白いと思います。

この本を読んで思ったこととしては、“文章が美しい”といえる文学が今の日本文学には存在しないのではないかということです。また、日本文学における美学というものに愛国的感情を若干感じてしまうなあと、思ってしまいました。そもそも文学に美学を求める時代でもないのか?今の文学はやっぱりパンク文学か?などなど。

解説も含めて楽しめました。日本における文学の歴史を感じます。

もう少し他の川端康成の本も読んでみたいなと思いました。

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そういえば先日、同じプログラムで日本に留学していたペドロがリスボンに帰ってきました。僕がリスボンに着いたときに迎えに来てくれ、家にも招待してくれた彼だけあって、久しぶりの再会が嬉しかった。

日本が楽しそうだった。

そろそろ帰国日を決めねば。



  1. 2007/03/29(木) 07:09:50|
  2. どくしょ
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『魔の山』

久々に更新します。ようやく、『魔の山』(著:トーマス・マン 訳:高橋義孝 新潮文庫)を読み終わりました。人生の中で出会う小説の中でかなり上位に占める小説のひとつでした。

文庫本上下巻計1500ページという長編で、読み終わるのに2,3ヶ月かかってしまったのが難点でしたが…。

おそらく『魔の山』といってもピンとこない人が多いでしょうが、村上春樹の小説に出てくる主人公がよく読んでいる本、もしくは『ヴェニスに死す』の作者と言えば分かるのでは。

物語は、ドイツ人の主人公がスイスの山にある療養所で療養している従兄弟を見舞いに行ったはずが、自分も病気になってしまい、長期の滞在をする中で出会う様々な人々、体験をもとに成長し、療養所を去っていくまでを描いた教養小説です。

この小説が面白いのは、ユーモラスな表現のうまさと、登場人物の適切な役割分担(教育者として登場するセテムブリーニ、ナフタ、憧れの女性ショーシャ夫人など)によるものが大きいと思います。

あと、特筆すべきは時間表現だと思います。

この物語は主人公が3週間の滞在を過ぎてなお療養所で過ごすことになってから、時間表現が曖昧になります。数週間という単位があっという間に過ぎ、この物語は結局7年間の主人公の滞在を描きます。しかし、その7年間の描写が時系列的に順を追っていながらも、断片的な経験はその時系列のどこに属してもよいような(小説の構成からすると順序は重要視されているのだとは思うが)形で描かれています。つまるところ、断片的に切り取られる話が、物語全体の中のどの時間に属しているのかが不明であるという状態を作り出しています。

さらに、この物語は思想的に対立する教育者2人がいることで単純な物語ではなく、思想が展開する小説として興味深く読めます。

ただ、本当にこの小説が凄いと思うのは、このような難しい文学的実験、思想としての小説という試みをしていながらも、物語を読むことの楽しさを存分に楽しませてくれる点にあると思います。そこに、著者の言葉(ユーモラスな)表現の旨さがあるような気がします。

大江さんの本(特に後期の作品)と比較すると、彼の小説は実験的な小説としては面白いのですが、物語を読む楽しさみたいなのは少ない気がします。

というわけで、『魔の山』を採点すると5つ星です。
長い小説ですが、お薦めです。最初の方はだらだらしていて面白くないかもしれませんが、後半から急展開して面白くなります。









  1. 2007/03/23(金) 08:18:01|
  2. どくしょ
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まちづくり

『まちづくりの新潮流−コンパクトシティ、ニューアーバニズム、アーバンビレッジ』
著:松永安光、出版社:彰国社、出版年:2005年

という本を借りて読みました。
松永さんは『マニエリスムと近代建築』も訳したりしてる人で、鹿児島大教授です。

初心者には読みやすく、色々言葉を覚えられてわりといい本です。

基本的に新しい都市計画の思想は、公共交通の強化、徒歩圏内のまちづくり、用途の混合というのが主流みたいです。

面白かったのは、今の都市計画で欠かせないのはいかに民間企業を誘導するかで、採算の合う都市計画ということが求められるようになってきているということでした。単にまちの計画だけではなく、その方法論までも求められるようになってきたということでしょうか。

他に面白かったのは、イギリスのアーバンビレッジ、アメリカのニューアーバニズムといったまちづくりと、ドイツ、オランダでのまちづくりが建築的には全く異なった方向を目指している点です。イギリス、アメリカはどちらかというと建築的には後退したデザイン(〜風といったようなデザイン)であったのに対し、オランダ、ドイツは現代建築をつくりつつもそこにまちの調和を見ています。著者自身建築家なので、後者のほうに魅力を感じているようで、環境的視点をもった現代建築がまちづくりという観点からは必要だと考えているようです。

あと、この本を読んで考えなければならないなと思ったのはコミュニティのデザインです。上野千鶴子の“選択縁”の話を読んでもピンとこなかったのですが。。。というのは、あるまちづくりのデザインで、郵便ポストを各家に設けず、まとまり毎に一つのポストを置くようにして、そこで人が顔を合わせるようになっている、というのがありました。これはある意味、“強制”的手段なわけですが、そうでもして近隣に住む人たちがコミュニティを持たないと、安全性を保てないと考えるともしかしたら有効な手段なのかもしれないなと。。。

おそらく、現代のコミュニティを考える上で重要なのは、まちの安全性だと思います。アメリカのようにゲーティッドコミュニティにするか、それとも先のような例にするのかなどなど、ハード面での改善かソフト面での改善か、コミュニティを保つ、もしくは新たに創出する方法を考えていく必要があるように思いました。
  1. 2007/02/13(火) 02:39:36|
  2. どくしょ
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